2014年08月31日

人間の身体機能とゲームコントローラーの関係

従来の据え置き型ゲーム機のコントローラーは、どういう過程でそうなったのか知らないが、十字キー型のコントローラーを使う。
任天堂のファミリーコンピュータが発祥かもしれない。ともかく重要なことの一つは、「十字キーと複数のボタン」というコントローラーだった。

これは人間の動きをシミュレートする場合、十字キーは「移動」つまり歩行や走行のアニメーションを再現しやすい。そしてこれは「脚」の動きを再現するのに都合がいい。ちょうどぴったり合う動きなのだ。
脚の機能というのは、人間の体全体を、その場からいずれかの方向へ少しずつ移動させる機能が主だ。だから4方向ついている十字キーはちょうどいい。

しかしながら、十字キーで腕の動きを再現するのは難しいものがある。
腕の主な機能は「操作」であって、外界へ向かって何かをする、たとえば道具を使うことなど。
これは、「少しずつ前後左右に動く」というような動きではない。腕の動きは「ある部分へ向かってまっすぐ動く」場合が多い(3DCGでいうインバースキネマティクスの動き)
これの動きは十字キーで再現しにくい。たとえばガンシューティングで、画面のある地点に照準を持っていくような場合だ。十字キーだとノロノロ照準が動く。しかも目的のところでぴったり止まったりせず、ちょっとずれたりする。いらいらする。なぜいらいらするかというと、腕の動きはもっと早くて正確だからだ。上手く腕の動きをシミュレートできていないからいらいらする。だからガンシューティングには、専用の銃コントローラーが用意されていることが多い。

さてここからが重要なところなのだが、スマートフォンは十字キーとまったく逆なのだ。
こいつは画面をタッチしてコントロールし、十字キーなんてものはない。したがって、「ボタンを押している間少しずつ移動」という動きは苦手だ。それよりも「いきなり画面のどこかの地点を即座に示す動き」のほうが得意だ。
この動きは腕の動きに似ている。しかし脚の動きには似ていないため、つまりスマートフォンのゲームは、人間の足の動きよりも腕の動きを再現するのにむいている、ということになる。


難しい話をしたが、ちょいと思い当たるところがある人は多いと思う。
たとえばスマホのRPGで主人公を「移動」させるとき、画面の中に十字キーみたいなものが表示されてそれを押しっぱなしにして移動するのだが、非常にストレスがたまる。
まずボタンを押した瞬間の反応が鈍い。押してすぐさま移動を開始しない。ボタンを正確に押すのが難しい。またなんといっても、ボタンを押しっぱなしにしていると、その部分に汗がたまって、そこから指をずらしたりする感覚が一定でない。指が汗をかくとスライドしにくくなる。
これはすべて、「脚」の動きを再現しているから、つまりスマホ画面の中で主人公とかを「移動」させている、そういうゲームデザインをしているからこういうことになる。
そしてこれらは従来の据え置き型ゲームの再現に近い。

これと逆に、従来では難しかった腕の動きの再現、たとえばFPS(ガンシューティング)は、割とストレスなくできたりする。
画面に敵が出てくると、昔は十字キーで照準を少しずつ移動してボタンを押して弾を撃っていたのが、スマホだと敵の場所をタッチすればそれでいい。次から次へと敵が出てきても、そこをタッチしていけばすむこと。こういう爽快感は、十字キーでは再現できなかった。昔に比べてストレスが小さい。


現在、多くのゲーム会社が、こぞってプラットフォームをスマホに移行しようとしているんだけど、それが単なる「従来のゲームをスマホに移すだけ」になっていたりする。
ホンマに何も考えず、そのままスマホに移動させるだけだったりする。しかしながら、こういうコントローラーの違いがあるので、たとえばドラクエをスマホに移行したときには、客から散々クレームが出た。
RPGの場合、十字キーで主人公を「移動」させてきたのだが、脚の動きはスマホに向かんということだ。従来型のシステムをそのまま持ってきていたのでは、ストレスがたまるだけであって、しかも「何も新しい開拓をしていない」
「Smash Hit(スマッシュヒット)」という有名なスマホゲームがあって、これは球を投げていろんなものに当てていくゲームで、かなり面白い。主人公の「移動」は、自動で行われる。主人公はどんどん自動で前へ進んで行き、視界に入ったいろいろな物体めがけて球を投げ、当てていく。当てていって点数が増える。
このシステムは、従来型のコントローラーではやりにくいのだが、スマホではやりやすい。


スマホにはスマホならではの強みがあるんだ。スマホに適したゲームというのがあり、本当にスマホの力を発揮しようと考えるなら、その特性を十分理解した上で、最大限有効に使えるようなゲームを作ったほうが、斬新さもあって、良質なゲームができると思う。
単に従来型のゲームをスマホに無理やり移動させるだけというのは、新規さがないだけでなく、ゲームのクオリティも劣る。そのやり方では、この先生き残るのは難しいと思うね。

従来のゲームとはまったく違うやり方、新しい方法、一から考えなきゃいけない。
特に従来のゲームは、コントローラーで「脚」の動きを再現してきた。スマホの得意分野は腕の動きだ。だから、コントローラーで移動させるRPGとかアクションとか、根本的に向いていないわけだ。やるとしても、異なるシステムが必要だ。
逆に音ゲーや銃撃ゲームなど、腕を使って精密な動きを再現させるものは向いてる。
そんな難しく考える必要はないんだ。そういうのが昔のゲームではできなかったところ。たとえば包丁で大根を上手に切るゲームとか、そんなんでもいい。
手先でちょいちょいと何かをやるゲームが、これからもどんどん出てくるぞ。


posted by Valley at 22:48| 日記