2014年06月28日

アマチュアのゲーム音楽家たち

最近流行の「Unity」というゲームエンジン(製作ツール)は、今急速にシェアを伸ばしているツールで、現在、全世界では100万人以上のディベロッパー(開発者)が使用しているといわれています。
スマホのゲームを起動した直後「Unity」というロゴが現れるのを見たことのある人もいるでしょう。あれはUnityで作られたゲームで、ベーシック版(無料)の場合にはゲーム起動直後にあのロゴが入るようにできています(プロ版だと自社のロゴを入れられる)
このツールは効率よくゲームを作れるという以外に、「アセットストア」というものがありまして、Unityがウェブ上でさまざまな素材を素材の開発者から集め、ダウンロードして使えるようになっています。
そこには有料のものや無料のものなどあり、すべての部品を一から作らずとも、ゲームを完成させることができるようになっています。
今までは素材を作るには一つ一つ企画を立て、製作者に注文していたので、非常に時間がかかるとともに資金も必要だったわけですが、今ではこのようなストアを使うことで、かなりコストを抑えることができるようになってきました。

さて、今までアマチュアの世界で、「ゲーム音楽」というジャンルがありまして、これは何かというと、実際にゲームを作って発表しているわけではなく、あくまで「ゲームを想定した音楽」とか「今までのゲーム音楽に類似した趣向の音楽」という意味でした。
製作者たちは、ひそかに「どこかのゲームで自分の曲を使ってほしい」と思いながら楽曲を作っていたのですが、それもほとんど日の目を見ずに終わっていました。
音楽投稿サイトでそういう音楽を出している人もたくさんいるのですが、「これを今すぐあなたのゲームで使ってかまいません」というような明記はないため、ゲーム製作者がいちいちその曲の製作者に問い合わせて許可を得るのは非常に面倒というか、嫌だったのですね。
なのでたいてい、「フリー素材」と明記してあるようなサイトに載っている音楽を使ったりしたものでした。
ところがこのように、今世界中で最も多く使われているツールに、このように「使ってよい」と明記されている素材集が世に出ていると、非常にやりやすいのです。
やり方も簡単で、決済してダウンロードするだけ。いちいち打ち合わせする必要はありません。
また音楽だけでなく、スクリプトやアニメーションの基礎データを渡したりもできるので、ゲームの種類によっては劇的に製作時間が短縮できます。非常に画期的です。

このような場が用意されることで、今まで埋もれていたアマチュア音楽家の活躍の場ができつつある、といえるかもしれません。
ただしこのUnityというツール、基本的にはプロ仕様を前提にしているので、あまりクオリティの低いものは出せませんし、Unity社の審査もあります。審査が通らないと出せません。
これでゲーム音楽で稼げると思いきや、並み居るプロたちの「洗礼」を受けて立ち直れなくなる、ということも十分にありえます。

やれやれ素人が、戦場に迷い込んだか?
まったく俺たちも甘く見られたもんだ。こんなド素人の売込みを受けるとはな!
ここは見世物小屋じゃねぇんだぜ。失せな!

という罵声が聞こえてきそうですね。いや実に楽しい。こういう雰囲気大好きです。
あまりおかしなものを出すと、当然顧客からの信頼を損ねるわけで、相手にされません。評価も厳しいので、「悪い素材屋」という評価を受けたら、後々まずいことになります。厳しい世界です。
それでもクオリティに自信があるなら、ここで一発稼いでやろうという意気込みは、悪くありません。現にこのアセットストアで生計を立てている人もいるそうです。
このエンジンは、iPhone、Android、プレイステーション3・4、XBOX OneやWindows,Macなど、あらゆるゲームハードで動くように設計されているため、今後もますますストアは大きくなっていくでしょう。
スマホゲーム業界が、ポストスマホといわれるウェアラブルに移行するという見方が世間では流行っていますが、ゲームに関しては正直、ウェアラブルにはいかないと見ています。

Unityのアセットストアの規約は、ここに書いてありますが、
http://japan.unity3d.com/asset-store/
長いのと英語で書いてあって面倒なので、要点だけかいつまんで、わかりやすい言葉で書き出してみました。貼り付けておきます。
なお、顧客とは素材をダウンロードして使う人のことで、提供者は素材をストアに提供する人のことです。

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Unityアセットストア契約書内容

配布可能なものは、

(i) ビデオゲームの開発を容易にする設計のソフトウェア、(ii) コンテンツ(3Dコンピューターグラフィックを含むコンピューターグラフィック、サウンド、ミュージックなどを含む)またはチュートリアルなど、ビデオゲームおよびインタラクティブメディアの一部に組み込まれるデジタル素材
である。

アセットストアのカテゴリは

3Dモデル:キャラクター、小道具、植物、建物、乗り物、その他
アニメーション:二足歩行、その他
アプリケーション
エディタ拡張:2Dスプライト、モデリング、アニメーション……
オーディオ:音楽、環境音、効果音、その他
完成プロジェクト:システム、チュートリアル、テンプレート、パック、Unityテクニカルデモ、その他
サービス:決済手段、ゲーム分析、その他
シェーダー:ダイレクトX11、サブスタンス……
スクリプト:モデリング、GUI、アニメーション、アバターシステム、エフェクト……
パーティクルシステム:気象、炎、魔法、水、その他
テクスチャ&マテリアル:2Dキャラクター、タイルマップ、岩、紙、ガラス……

売り上げはUnityが承認するPayment Processor(支払い処理業者)によって支払われる。
著作権を主張するために、Unityがこちらの名前、住所その他の連絡先情報を侵そうとしている第三者に送信する権利を有する。
価格設定は米ドルで設定し、端数は認められない。そしてUnityが顧客に対し、妥当な通貨で表示する。
手取りは、あらゆる手数料を差し引いて30%が取られる。つまり70%がすべてがこちらに入る。
PayPalによる支払いでは、月ごとに支払われる。アカウントを提供すれば、払ってくれる。こちらのほうが早いし、手数料もかからないようなので、有利。
小切手または電子送金の場合、四半期ごとに支払われ、手数料を取られ、しかも250ドル以下だと支払われない。
無料提供の場合、Unityにも当然手数料は支払われない(Unityに嫌がられるかもしれない)
返金は支払い業者の規約による。
アセット提供の際、提供者の情報がダウンロード画面に表示される。保守やクレーム対応は提供者が行う。
提供者が適切にサポートしない場合、低評価、露出低下、売り上げ減少などが起こる場合がある。販売額が50ドル未満の場合、Unityは顧客に購入額を返金し、提供者に請求されることがある。50ドル以上なら、支払い業者のポリシーに従う。
提供した素材を消すと、顧客も以降はダウンロードできなくなる。
提供者は、自分のウェブサイトで決済機能をつければ、無料素材に対して寄付を募ることができる。ただし素材の「機能拡張版」を別のところで販売してはいけない。そのままならたぶん平気。寄付の募り文句は、アセットストアページ以外に表記してはいけない。
Unityは提供者の素材の著作権を奪い取るわけではない。好きに処理できるわけではない。
顧客が提供者に個人情報を与える場合、提供者は個人情報の秘密を守らなければらない。
提供者が、顧客から受け取った個人情報を、Unity素材のための宣伝とか(メールに新しい素材作ったよ!とか)はしてもいいが、Unity外ではどんな目的でも使ってはならない。
素材を別のところで販売するために、Unityを宣伝目的などに利用してはならない。
素材に悪評がついたとき、あまりひどいならそれについてUnityに問い合わせることができる。
素材を更新した場合、バージョン表記は提供者の責任で。
不謹慎なものは作ることができず、削除されたり、訂正を求められる。
Unityは提供した素材をプロモーションなどに使うことができる。
アセットを取得した顧客に対し、提供者は商用の販促、宣伝してもかまわない。
素材の中に第三者の素材が含まれる場合、その第三者の許可を得なければ出せない。
素材を削除することはいつでもできるが、顧客から取り戻すなどはできない。
エロはだめ。不謹慎もだめ。
各素材単位で、特約が可能。あまりおかしなものはだめだが。
顧客は、転貸借、複製、譲渡、頒布など不可能。
ダウンロードしたアセットを、別のパソコンで移動することはできず、それをやりたいならライセンサーから書面による承諾が必要。
顧客はアセットのコピーは不可。
同一素材のアップグレードは無料で行わなければならない。

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Unityアセットストア提出基準

あまり単純すぎるものは出してはいけない。もしやるならマルチパックしてセットで出すとかすべき。要するに、誰でもすぐ作れるようなものを出してはいけない(あなたの特有の才能、スキルを反映すべきである)
ユーザーが、使うに当たって難しそうなものは、文書によってサポートすること。特にプログラムコードはセットアップの方法を記述するように。
しっかりプレゼンテーションしよう。アセットの質と有用性を、テキストとプレビューでアピールするべき。unityウェブプレーヤー、youtube,Vimeoなどへリンクすることも可能で、有効である。
著作権に問題ある素材は絶対に出さないこと。訴えられる可能性がある。
中に別の著作権が含まれてはいけない。たとえば車にフェラーリのエンブレムがあってはいけないし、ベレッタのような実在の銃を出してはいけない。まるっきり実在のものを3Dモデリングしたりするのはたいてい不可。
できるだけ不具合は避けるように。
アセットの名前は、できるだけ詳しくわかるように。「飛行機」ではなく「伝統的なイタリアの複葉機」のように記述すること。スペースは使わず、アンダーバーで区切る。「Unity」で始まる名前は使わないように。既存のブランド名はつけることができない。
ReadMe.txtなどをつけ、セットアップやインストールの手順を明記すること。ドキュメントはパッケージのメインフォルダに配置すること。
zipファイルは非推奨。
3DモデリングデータはFBXかOBj。zipにする場合、たとえばLightwaveの元のファイルlwoを含めることもできる。
テクスチャはマテリアルにリンクさせるように。事前に確認しておくこと。
テクスチャはpsd,png,tiffのような可逆圧縮形式を使うように。顧客層からしてpsdが最適だろう。jpgは不可。
プログラムコードの場合、利用者が間違った使い方をしないように警告文を作るように。問題が起きたときに、その解決方法を明示するように。
UIの上の部分に自分の会社名を入れさせないように。UIにメニューを増やさせる場合、適切なカテゴリーに適切な名前で入れさせるようにする。
音素材はノーマライズし、できるだけ均一音量になるようにする。オーディオ素材の場合、オーディオサーバ上でもいいし、SoundCloudなどのサービスにリンクさせてもよい。
価格設定は、素材の複雑さや規模に比例してつけられるべき。以下、目安。単位は米ドル。

単品素材
小規模:2〜20
中規模:25〜95
大規模:100〜500

完成品
小規模:10〜55
中規模:60〜95
大規模:100〜1000

スクリプト
小規模:5〜45
中規模:50〜95
大規模:100〜1000

拡張機能
小規模:5〜45
中規模:50〜95
大規模:100〜1000

別のサイトで同じものをやたら低価格で販売してはいけない。
前例を見ながら妥当な価格をつけるのがベストである。
高い価格をつけることを恐れるな。
プロの作品であるという自覚を忘れないように。アート作品の場合、視覚的に魅力のないものは売れないかもしれない。

プレビューは前例を参考にしつつ、あまり変なものを作らないように。画像はpngで。
大きい画像(550×330)、小さい画像(175×100)、アイコン(128×128)の3つが要る。

提出する際には、アセットストアツールというのを使う必要がある。ログオンして最初のページ下部にあるリンクをクリック、ツールの最新バージョンをダウンロードする。それをインポートし、ユニティエディタから「パッケージマネージャを起動」する。
提供者にロゴを入れるところがある。
記述は英語。ぎこちない英語やスペルが間違っていると再提出。
ウェブサイトのリンク記述は、html形式のそのままで書く。href="www.mysite.com"のような書き方。メールも。
3Dモデルの場合、リグアニメーションされているかどうか、ポリゴン数など書く。バージョンも書く。
プレビューページで問題ないかしっかり確認しよう。
事前にそれが正常に使えるかどうか、テストしてから提出してください。新しくプロジェクトを作り、本当にインポートできるか試す。細かくチェックするように。クレームが飛んできても知らんぞ。
提出後、ユニティチームによって審査される。ただしすべての不具合が見つけられるとは限らないし、後でクレームが飛んでくるかもしれないので、問題はできるだけ自分で見つけておくように。
posted by Valley at 21:42| 日記